wattXplorerで電力デマンドを監視する(前編)

電力デマンド(30分デマンド)とは

日本の電力会社(一般送配電事業者/小売電気事業者)との高圧・特別高圧契約において、一定規模以上の工場や施設では電力会社から高圧で受電し、単相100V(電灯)や三相3線200V(動力)などに降圧して各電気機器で使用します。
高圧または特別高圧契約では、契約内容(料金メニュー/約款等)に基づき、最大需要電力(電力デマンド)をもとに契約電力が定まり、料金が算定されます。この仕組みを一般に「デマンド料金制度」と呼びます。契約は通常1年単位で見直されることが多く、契約期間中に最大需要電力が契約電力を超えてしまうと、翌年の契約電力が上がり、電気料金も高くなってしまいます。とくに特別高圧契約の場合、値上げ幅が大きいので契約電力アップはなんとしても避けたいところです。
日本の電力会社が料金算定で用いる電力デマンドをどのように計測しているか簡単に説明します。電力会社は「ある30分間に消費された電力の平均値(単位:kW)」を計測します。具体的には、毎時00分・30分を区切りとして30分間の電力量(kWh)を電力メーターで計測し、その値から平均電力(kW)を求めます。
(計算式:30分間の電力量が E [kWh] のとき、平均電力は E ÷ 0.5[h] = 2E [kW])
30分ごとの需要電力を扱うため「30分デマンド」と呼ぶこともあります。

電力デマンドを計測する

高圧/特別高圧で受電する場合、配電事業者の送電線はキュービクルという受電設備に接続され、そこから各分電盤へと配電されます。キュービクルには電力会社の電力メーターが設置されており、昨今はスマートメーターによりリアルタイムで電力使用量が送信されています。

では、ユーザー側でどのように電力デマンドを計測すればよいのでしょうか。いくつかの方法を列挙してみました。

  1. 30分ごとに電力会社の電力メーターの値を人間が見て記録する
  2. 電力会社のスマートメーターからの値をシステムに取り込む
  3. キュービクルの受電側に電力量計を取り付け、システムに取り込む
  4. キュービクル直下の全てのフィーダーの電力量を測定し、システムに取り込む

Aの方法は紙とペンさえあれば実行可能ですが、あまり現実的ではありません。
Bの方法は正確な電力デマンドを知ることができる最も良い方法ですが、導入コストが高く数か月単位の導入期間も必要です。また、電力会社への申請も必要で、スマートメーターが設置されていない場合は取り替えも必要です。Cの方法も同様に、数千ボルトもの高圧対応の機器は高額で、停電を伴う大掛かりな工事が必要です。
Dの方法は最も簡便であり、当社のwattXplorerをご利用の場合は無資格者による無停電での取り付けが可能です。ただし複数あるすべてのフィーダーにwattXplorerを取り付ける必要があり、電力会社の電力メーターとは一定の誤差が発生する可能性があります。
これらの方法を用いてリアルタイムで電力デマンドを監視することで、契約デマンド超過を防ぎ電気使用のムダを削減することができます。

wattXplorerを全てのフィーダーに取り付ける

キュービクルで高圧受電し、単相100V(電灯)や三相3線200V(動力)に降圧したのち「フィーダー」で各分電盤に配電します。理論上、全てのフィーダーの電力量の和が受電量と等しくなります。
イラストのように全てのフィーダーにwattXplorerを取り付けていきましょう。キュービクル側の分電盤に取り付けるか、または設備側の分電盤の主幹ブレーカー側に取り付けます。設備側の分電盤であれば無資格者でも容易に取り付けが可能です。キュービクルやその付帯設備の取り扱いには電気主任技術者等の資格が必要な場合がありますのでご注意ください。

当社明石工場でキュービクル側の分電盤に合計35個のwattXplorerを取り付けました。三相3線式の場合はイラストのように1回路につき2個のCTクランプを取り付けます。

設備側の分電盤においては、主幹ブレーカーより上流側にwattXplorerを取り付けます。下の写真では右側の白色の筐体が主幹ブレーカーです。
※下の写真では主幹ブレーカー側ではなく設備側にwattXplorerを取り付けています

WXC(wattXplorer Cloud)で電力デマンドを監視する

WXCで電力デマンド監視の設定をしましょう。WXCに管理者権限でログインして「電力デマンド管理」のメニューに入ります。

  • 監視対象のグループ:
    電力デマンド計測用以外にwattXplorerを取り付けていない場合は「全デバイス」を選択します。そうでない場合は、あらかじめ電力デマンド計測用のwattXplorerでグループを作成しておき、そのグループを選択します。
  • 基本設定:
    電力会社との契約デマンドや監視の目標値(%)を設定します。
  • 注意アラート:
    目標値に対する進捗率を監視し、設定値(%)を超えると段階的にメールアラートを送信します。

ダッシュボードを表示しましょう。平均法による電力デマンド予測値(このまま使い続けたら30分デマンドがどうなるかの予測)をもとに緑色→黄色→橙色→赤色と変化し、視覚的にも分かりやすいですね。

wattXplorerによる計測値の誤差を補正する

wattXplorerは取り付けが簡単な反面、電圧計測ができないため初期設定で電圧と力率を固定値として設定します。とくに力率は設備構成により変動しますので、デフォルト値の0.85のまま運用すると電力会社の電力メーターとの測定誤差が発生してしまいます。
次のブログ(後編)では力率設定値を調整し電力メーターとの誤差を小さくする方法を解説します。

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