
旭光電機株式会社
導入背景
当社(旭光電機株式会社)明石工場に設置されているはんだ設備が老朽化及び軸ズレの影響により、モーター負荷が上昇。その結果、基板搬送中にコンベアスピードの停滞が発生し、コネクタの溶解が確認されました。はんだ槽への長時間接触による熱ダメージの恐れがあることから、当該基板は没処理とされました。
生産技術課による調整で一時的に設備は復帰しましたが、再発時期が読めず、運用中はモーター温度を30分ごとにテスターで計測・紙記録する対応が続いていました。しかし、この手作業には負担と見落としのリスクがあり、恒常的な監視体制の構築が求められていました。
そのような中、旭光電機が提供するIoTデバイスを使ってモーター温度やモーター電流、コンベアスピードの自動計測・記録システムの導入できないかと明石工場の方から相談があり、本システムの構築を行いました。

システム構成
・使用機器、サービス
| カテゴリー | 使用機器・サービス | 用途 |
|---|---|---|
| IoTデバイス | wattXplorer | モーター温度・電流、電力量の測定 |
| 測距デバイス | M5Stack Core2 for AWS + ToF測距センサユニット | コンベアスピードの測定 |
| クラウド | AWS | データの受信・保存 |
| 可視化 | Lumiot Viewer | データのダッシュボード表示 |
・アーキテクチャ図

・システムの流れ
- wattXplorerで電流・温度・電力量を測定
- M5Stack Core2でコンベアスピードを測定
- 測定データをAWSクラウドに送信・保存
- AWS経由でLumiot Viewerにデータを送信
- Lumiot Viewerでリアルタイムデータを可視化
IoTデバイスの設置場所
はんだ設備のモーターやコンベアに設置することで、はんだ設備の見える化が進みました。



Lumiot Viewerでの可視化

ダッシュボードでは以下の情報をリアルタイムで監視できます。
①システム全体の状態
②各センサーのステータスと測定値
③データ期間選択
④-⑦各種グラフ(モーター温度、モーター電流、コンベアスピード、日別積算電力量)
はんだ設備の監視システムを導入してよかったこと
・作業の質の向上と生産性の最大化
IoT技術による自動測定・記録の仕組みを整えることで、現場作業を人手による測定や紙への記録といった作業負荷から解放します。これにより、現場作業者が創造性や付加価値の高い業務に集中できる環境を整え、人的資源を最大限に活用することを目指します。
・不良の未然防止と品質の安定化
モーターの状態をリアルタイムでモニタングし、異常があれば即座に通知する仕組みによって、軸ズレや温度異常に起因する不良や没基板の発生を未然に防ぎます。さらに、蓄積されたデータから設備の状態を把握し、早期対応を可能にすることで、製品品質の安定化・向上を実現します。
まとめ
これらの取り組みにより、現場作業者はより創造的な仕事に、設備はより安定した稼働に専念できる、価値を生み出し続ける”止まらない現場づくり“を目指しています。
